グリーンエコートップページ ガーデニングコラム

人間休業(植栽のコツ)

 私が日頃の仕事の中でお客様から尋ねられる事の中で最も多くあるのがグランドカバーの植栽のポイントについてですが、このテーマは究極であり一言で語る事は出来ません。私が日ごろ心がけている最も大切な事について簡単ではありますが触れさせて頂きたいと思います。

 我々プロを始め、ガーデニングを日ごろ楽しんでいらっしゃる方全てに共通する事であり最も勘違いしている事が、グランドカバーなどを植栽する際に人間の視点のみで植物を扱うという事です。当然人間が植物を植え楽しむ訳でありますので主観的な視点は非常に大切な要素である事は否めませんが、その主観が自然界の姿を一側面のみで見ている場合がほとんどで、人工的ではない植物の自然な姿や生態系などは全くと言って良いほど考慮されていないのが現実的な姿です。

 しかしながら自然の事を理解する事などは決して容易な事ではありませんし、それらを学ぶポイントすら解らないのが本当のところで、またそれらの事を具体的にお伝えする事など出来るわけもありませんが、私の心がけている事で少しでもヒントになれば幸いです。

 我々ガーデン業界で言われている植栽の最大のポイントは『植物の気持ちになって植えろ!』という事がよく使われますが、その事は決して間違いではありません。実際それぞれの植物に成り代わり植物の気持ちになって植栽する事が出来れば、それは素晴らしい庭になる事は間違いありません。しかしながら我々人間は共に生活している他の人間の事も理解できないのに言葉を発せず意思を主張しない植物の事を理解するなど至難の技であります。

 そこで私が常々言っている事で植栽をより自然で違和感の無いものに近づけるポイントは、まず身近にある自然に生えている植物をじっくり観察する事です。雑草などは日本中どこに行っても生えていますので身近なところで自然に生えているものをただただ観察し続ける事です。日ごろから気を付けていると何故か自然で気持ちの良くなるようなところがある訳ですが、もしそのような場所を感じたら何時間でもじっくり観察することで何か見えてくるはずです。意識的に探そうとしなくても、ただ見続けていればそのうち自然な植物の生え方などは感覚的に養われるものです。視覚的な技法の問題もありますがそれらのものも全て自然界のなかにお手本があるといっても過言ではありません。皆さんが良く研究する芸術の世界や美を表現する造形的な世界のものはほとんど自然の美であると言えるでしょう。

 今回のテーマは『人間休業』 でありますがこのテーマこそが最大のポイントである事は私がこの仕事を通じて会得したものであります。『人間休業』とは一体何を言っているのか解らないと思いますが、植物と関わりあうときは人間を休業して接する事で、もっと簡単に言えば我々人間の根底にある動物の意識になることであります。私たちは人間である前に動物であり、動物的な本能と知的な人間の部分の両方を兼ね備えている訳ですが、私は人間の意識だけでは偏っている事に気付き、動物的な本能と視点からより純粋な視点を持つことによって、庭造りを実践しています。動物的と表現するといかにも下等な事のように感じますが、もともと人間は動物で意識の中では上位階級に属していると勘違いしている場合も少なくありません。

 動物は決して余分な事はせず非常にシンプルであり、自然と調和して生きているため本能的に自然を感じる事ができる生き物です。私は動物であり人間である事に気付きこの両面をバランスよく使う事でよりいっそう自然で気持ちの良い庭を造る事を日々楽しんでいます。皆さんもたまには人間を休業してガーデニングを楽しんでみたら如何ですか。きっと思っているより難しくない事に気付かれる方も沢山見えるはずです。


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