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借景

 借景とは庭造りでよく使われる言葉で庭の外や背景の要素を、庭の一部として取り入れ構成していくもので、庭を造るプロの中で誰でも知っているものでありながら、一般の皆様方にはあまり浸透していない言葉でもあります。

 庭を造る上で非常に大切な要素である借景は、本来は非常な重要な要素であり古典的な日本庭園にはこの技法を惜しげもなく取り入れられてきたものです。背景に見える山々などを庭の一部に取り入れる事でより一層空間に広がりを持たせたり、またその他の効果も相乗効果を見せながらその庭の質をさらに向上させるテクニックであります。京都などの有名庭園などの庭では正に背景を上手く借景として利用し、自然と一体化した非常に広がりのある空間は見るもの全てを長い間魅了し続けてきています。

 私はそれらの事を考慮してある定説に至りましたが、それは背景に山などが見える場所で広く平らな土地があるところは庭文化が発達したようです。全国的に見てもこの仮設はほぼ当てはまり代表的なところは山々に囲まれた盆地である京都です。実際私が手がけてきた庭もそれらの事がひとつの共通項である事は間違いありません。

 しかしながら確かに敷地が広くその他の建築物に邪魔されること無く借景を利用できれば背景なども充分利用することが出来ますが、最近では敷地も狭く建物が高層化することなどから自然の風景を借景として利用する事は非常に難しい状況になってきました。むしろ見えてはいけないものが増えて来たため借景を利用するどころか外界を見えなくし遮断してしまう傾向が非常に強くなってきています。たとえば隣の家からの視線や道路などの通行人からの視線などが気になり目線の高さまでの高い塀などが用いられ、逆に借景を利用する事無く回りの風景とは全く別の空間を楽しむようになってきている事は都市部などの住宅密集地などでは特に顕著です。

 現代の住宅事情などを考えれば借景を利用する事が難しくなってきているのは決して否めない現実ですが、閉鎖的に庭造りを進めることは必ずしも良い事ではありません。状況が許さない場合は別でありますが、出来ることなら全てを覆い隠してしまう事のない様、上手に外界のとの調和を図り、中から見てもまた外から見ても素晴らしい造形美を演出できればそれに越した事はありません。町並みもひとつの借景として利用し、それらの地域の雰囲気や建物などを含む風土などあらゆる要素に溶け込むような庭造りこそが最高の庭といえる事は昔も今も変わる事はないでしょう。

 借景とは庭造りの非常に重要な要素である事は決してないがしろにするものではありませんし、その場所や状況を考慮して庭造りを進めなければ必ずや違和感を覚えるものになるのは間違いありません。

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