グリーンエコートップページ ガーデニングコラム

死んでしまった土

 土はガーデニングや植物栽培等に大きな関わり合いがある事は私が常々申している事ですが、戦後の凄まじく早く進む近代化の中で出来上がりだけの偏った視点から、私たちが本来進むべき道を大きくそれて取り返しのつかない状況になってきている事は殆どの方がご存じないと思われます。

 本来土は自然の生態系の中で造られるものであり、人間が手を出すところではありません。しかしながら人間の知恵によって食を安定的に供給したり蓄えていく事は避けられない営みの一つです。私はガーデニングの仕事を始めるきっかけとなりましたのは、無農薬有機農法で微生物や酵素を研究されている日本でも屈指な農業の指導家の師に弟子入りし勉強してきた事がきっかけですが、その過程で土の重要性や現代農業の将来への危険性などは嫌というほど思い知らされてきましたし、今の自分にも大変有意義なものです。

 具体的な例を挙げさせて頂きますが、この問題も語れば膨大な時間が必要になりますので皆様にも分かり易くかいつまんでご説明させて頂きます。ガーデニングという趣味は最近のもので比較にはなりませんので農業に視点を置いて考えれば、戦前までの一昔前までは技術も未熟で季節のものはその時期しか食べる事は出来ないものでありました。肥料などは当然事ですが、最近の化学的なものなど無く身近にあるものを利用するしか方法はありませんでした。簡単に言えば私たち人間から排出されるものを発酵させたもの、いわゆる下肥です。他にも家畜の糞なども重要な肥料の原材料でした。

 しかしながら最近では悪臭などの問題や衛生的な問題等やまた便宜的な問題から使用する事が避けられてきて、殆どの農業で化学肥料を使用するような状況に至っています。手軽に植物をコントロールでき使用方法や作業の手間などを考えると非常に便利で、実態はどうしてもそのような方向に進まざるを得ない訳ですが、ここに本来一番大切にしなければならない事があるのにもかかわらず間違った方向に進んでいる事は非常に残念な事です。人間で例えて言えば非常に分かり易い事ですが、自然からの恵みを沢山含んだ食品を摂取せずにサプリメントなどの化学薬品だけで生きていく事を考えれば誰が考えても容易な事です。

 土の中には多くの目に見えない微生物が生息しそれらが植物にとって大きな影響を及ぼしている事は周知の事実ですが、それらの微生物が化学肥料ばかり与えられて本来の姿を維持できるわけがありません。簡単に言えば先人たちが下肥などの有機肥料で土の力を高めて来た事が、手法を変えたせいで徐々に地力を低下させている事が化学肥料によって気付きにくくなっていることです。植物が吸収し続けて下がった地力を化学肥料でごまかしているだけで、瀕死の重傷になっている土には誰も気付いていません。

 現実に農作物の面積あたりの収穫量も下がってきているのが現実ですし、アメリカなどでのトウモロコシの収穫量が年々下がってきている事はこの事が証明している例です。品種改良で気候の変化に対応したものを造っていく事も重要ですが、基本的なことをもっと大切にしていく必要がある事を認識して頂きたいと思います。

 植物に生命があるように土にも生命があり、自然の恵みがあって全てのものがバランスを保っている事を謙虚に受けとめれば安全で美味しいものを食べる事が出来ますし、ガーデニングにいても多くの副産物を手に入れ精神的にも肉体的にも健康になる事が自然の流れではないでしょうか。土がどんどん死んでしまっている状況の中で皆様のお宅の庭だけでも健康で生きた土造りをしてみては如何ですか。必ず自然からの大きなプレゼントが皆様に届く事は明白な事実です。

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